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» 失敗談②:正解だったはずの繰り上げ返済

 
これは泣く泣く自宅を売却することになってしまったお客様(Tさん)から相談を受けた時の話です。
 

Tさんの背景

Tさん夫妻は結婚を機に4,000万円のマンションを購入することにしました。
共働きだったTさん夫妻は資金にも余裕があり1,000万円の頭金を入れて残りの3,000万円を住宅ローンで組むことにしました。
 
購入当時、不動産会社の担当者に返済についてアドバイスを求めたところ、金利負担を減らす為に、なるべく早め早めに繰り上げ返済することを勧められていたので、共働きで収入の高い二人は積極的に繰り上げ返済を行いました。
 
7年後二人の間には子供が生まれ、それを機に奥様はお仕事を退職されることになりました。
 
この時には、既に2,500万円近くも繰り上げ返済を行っており、住宅ローンの残債は500万円となっていました。
7年で2,500万円も繰り上げ返済するのはとても大変なことです。
2人は200万円の預金を残してその他のお金は全て繰り上げ返済に回していました
 
子供が生まれて1年後、Tさん夫妻に不幸が訪れました。
ローン名義人であるご主人様が心筋梗塞により亡くなってしまったのです。
 
ローン名義人であるご主人様がお亡くなりになられたことで住宅ローンは団体信用生命保険が適用されることとなり、住宅ローンの残債500万円は支払う必要がなくなりました。
 
この時1歳になるお子さんを持つ奥様の手元には、200万円の預金があるだけでした…
 
 

Tさんの失敗とは?

Tさん夫妻を襲った突然の不幸は予想できるものではありません。
 
しかし、例えばの話をさせていただくのであれば、7年間で繰り上げ返済した2,500万円を繰り上げ返済に回さず、Tさん夫妻が預金として保有していたとしたら、ご主人様に不幸があった7年後には住宅ローンの支払いは同様に免除となり、さらに手元には2,500万円以上のお金が残っていたことになります。
 
一方は200万円の預金でスタートするご主人様亡き後の生活と、お金の置き所次第では2,500万円の預金でスタートできる生活があります。
 
確かに、購入当時相談した不動産会社の担当者が言う通り、住宅ローンのことだけを考えれば繰り上げ返済を早めにした方が金利負担は抑えることができます。
 
しかし、ライフプランに置いては必ずしも同じ解答にはならないことも多くあるのです。
 
今回の件は当然予想できるものではなく、事前に計画など立てられることではありませんが、「繰り上げ返済のお金を取っておけばもう少し余裕が出来たのに…」とお話しされていた奥様の後悔された表情が未だに忘れられません。
 
 

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